昨年11月に開催した第24回福島ダイアログでは、福島県内の復興にたずさわる20代の方たちに集まってもらい、現在の復興状況についての考えを共有しました。多くの点が議論されました、そのなかには、ハード面のインフラの復興が想像以上に早く進んでいることへの肯定的な評価とともに、それがもたらす変化の大きさへの戸惑い、また、復興のイニシアチブをとっている行政と、地域の人たちの意思疎通の難しさも語られました。被災地を取り巻く社会的条件がこの12年の間に劇的に変化するなかで、地域の人たち同士、被災地内で活動している団体や個人の間でも状況を共有することが困難である状況が浮かび上がりました。
2011年以降、原子力災害によって社会に大きな亀裂が生まれ、社会が分断したことはくりかえし指摘されてきました。ダイアログでの語りからは、社会にひとたび入った亀裂は、時間の経過によって自然に消え去るのではなく、口をつぐむことによって表面上見えなくなっているだけであること、そして、被災地の社会条件が、避難指示の解除などによって変わるたびに、さらに新たな分断が上乗せされ、現れてくる状況も明らかになりました。
そうしたなか、参加者のなかからは、地域の将来について誰かに決められるのではなく「一緒に考えたい」、そして自分たちも福島の一員として地域の将来を「一緒に作りたい」との希望が表明されました。そして、そのためには、すべての関係する人たち(ステークホルダー)がそれぞれの意見を共有し、現在と将来の課題に対応するための解決策をともに模索する枠組みを作っていく必要があることが指摘されました。
幸せに生きたいという願いは、私たち皆が共有するものですが、それは他の人たちと一緒にあって初めて叶うものです。私たちが日々暮らしていく上で、「共に生きる」ことから逃れることはできません。そのことの大切さは、原子力災害のときに経験した困難のなかでとりわけ明らかになりました。
第25回福島ダイアログでは、「原子力災害後に共に生きる」ことについて、参加者の皆さんとじっくりと考え、放射能に影響を受けた地域特有の状況のなかで、共に幸せに生きたいという願いを叶えるためになすべき、よりよい決定はどうあるべきかを考える機会にしたいと思います。 してください。 |